内陸やまと山脈調査旅行と,その成果

 内陸やまと山脈調査旅行(以下内陸調査旅行)は、リュツオホルム湾に注ぐ氷河の中で最大
規模の「白瀬氷河」の涵養域で、大陸氷の流動方向や速度とともに、積雪量を調査することと、
やまと山脈の地質や地形調査が研究目的であった。南緯72度、東経43度地点から約250km西
方のやまと山脈まで三角形を連ねる形の測量(三角鎖測量)を行って各頂点の位置を正確に決
定する。そして4年後に同じルートで再測量することにより、大陸氷の平均流動速度や流動方向
と、積雪量または消耗量(融雪や飛雪量)を明らかにできると考えた。
 第10次隊の内陸旅行はこの計画の初年度であった。測量はWild T2経緯儀による角測とCu-
bic社製のエレクトロテープによる距離測量が行われた。測量の最後にやまと山脈の露岩で緯
度および経度を正確に決定して、この地点を基準点とした。三角測量の結果を平面図で示し、
大陸氷の流動方向および4年間の平均流動速度を図示する。また内陸調査旅行中にはスコット
極地研究所が製作したIce Rader(電波氷厚計)による大陸氷床の厚さや、American Paulin社
製の精密気圧高度計による大陸氷の表面高度の測定も行われた。これらの内陸調査旅行の
詳細については、以下の論文があり、また本web siteのVの3に解説文がある。


参考文献

Naruse, R. (1978): Surface flow and strain of the ice sheet measured by a triangulation chain in
 Mizuho Plateau. Memoirs of National Institute of Polar Research, Special Issue, 7, 198-226. 
Naruse, R. (1979): Thinning of the ice sheet in Mizuho Plateau, East Antarctica. Journal of Gla-
 ciology, 24 (90), 45-52.
小元久仁夫(1970):電波氷厚計による南極大陸の地形計測.東北地理.22(3),162.
Omoto, K. 1976:Subglacial geomorphology of Mizuho Plateau and around Yamato Mountains, East
 Antarctica. Science Reports of the Tohoku University, 7th Series (Geography). 26 (1), 47-99.
Omoto, K. 1977:Geomorphic development of the Soya Coast, East Antarctica. −Chronological 
 interpretation of raised beaches based on leveling and radiocarbon datings−. Science Reports
 of the Tohoku University, 7th Series (Geography). 27 (2), 95-148.
小元久仁夫(1979):南極昭和基地周辺地域の氷蝕地形−大陸氷床下の地形−. 極地.15(1), 49-54.
小元久仁夫(1980):南極昭和基地周辺地域の氷蝕地形−リュツオ・ホルム湾東部の地形−.極地.15
 (2),43-50.


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