第10次日本南極地域観測隊は1968年(昭和43年)11月30日に東京港晴海埠頭 を南極観測船「ふじ」に乗船して、南極昭和基地向けて出発しました。途中、オース トラリア西海岸のフリーマントル港に寄港し、食料・水・灯油・ガソリン等を購入し 、 1週間後に一路昭和基地目指して南下しました。「ふじ」は「吠える40度」や、「叫ぶ 50度」の「暴風圏」を無事乗り越えて12月中旬には波静かな南極海に入りました。 氷海では砕氷航行を行い定着氷に接岸しました。早速小型ヘリコプターによる 氷上偵察を行い、その結果にもとづき氷上輸送が始まりました。しかし、海氷上に パドル(注:夏季の高温のため海氷の一部が融けてできた水たまり)が多いため、 雪上車と橇による氷上輸送は断念し、「ふじ」はさらに砕氷を行い昭和基地を目指 しました。そして1月1日に、昭和基地に向けて新鮮な食料と、1年ぶりの甘い内地 からの便りを載せた1番機が飛び立ちました。翌日から大型ヘリコプターによる輸 送が開始されました。その後「ふじ」は昭和基地が立地する東オングル島の東岸 に接岸して陸上から舫いをとりヘリコプターと雪上車による輸送が行われました。 基地では新しく隊員の居住棟やオーロラの中に観測ロケットを打ち上げるため 建物の建築が始まりました。固い永久凍土や岩盤に基礎のコンクリートを打ち込 むためツルハシによる穴開けは土木作業に慣れていない隊員には辛い仕事でし た。建設作業の合間には、測地や地学、生物班は露岩地帯で調査を行いました。 |
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