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  越冬に必要な全ての物資輸送が完了し、第10次隊は1969年2月に越冬成立式を 
 行いました。南極観測船「ふじ」は南極点旅行を終えた第9次隊を収容し、第10次隊 
 の夏隊員とともに一路日本に向けて帰路につきました。第10次南極越冬隊は1969 
 年1年間を極寒の昭和基地で研究観測を行いました。越冬中最大の課題は夏季の 
 往復90日間の「やまと山脈内陸調査旅行」でした。1970年2月、無事越冬を終えた 
 第10次越冬隊は1年ぶりに迎えにやってきた「ふじ」に乗船して帰路につきました。 

   帰路の航海では「ふじ」が氷航行中に、船底を通過した氷塊が衝突して右舷スクリ 
 ュー1本を失い、ビセットされました。当時は米ソ対立の冷戦の最中でした。ロシア 
 の「オビ号」が救援にやってきました。しかし氷状が悪く氷海脱出までには至りませ 
 んでした。しかしその後幸運にも強い南風が吹きリードができて、2週間後にようや 
 く氷海脱出に成功しました。この web site は1968年11月に東京港晴海埠頭を出 
 発してから1970年4月に帰国するまでの1年4か月間、南極の厳しい自然環境下で 
 29名の越冬隊員による観測成果の一部と基地生活について紹介した記録です。 

  東京港晴海埠頭を出港以来すでに50年、越冬隊員の有志が毎年1回全国各地で 
 行ってきた全員集合(総会)の写真も収録しました。なおこの web site は、2019年4 
 月に逝去した林 幹治隊員が制作し管理運営してきた内容を引き継いだものです。 
                                    (小元 久仁夫)



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